cyciatrist 自転車と精神科医療とあとなんか

ボストン留学帰りの精神科医。自転車好き。

アメリカでの「ケーキ」の食べ方


Chocolate Carrot Cake / Chocolate-Dessert-Recipes.com

3年間の留学生活から日本に帰ってきて美味しいケーキをときどき楽しんでいます。

先日は妻の誕生日で、近所の有名なケーキ屋さんで4号のちっちゃなケーキを買ってきて美味しく食べました。日本のケーキは本当に美味しい。しっとりとしていて、スポンジやフルーツ、クリームもフレッシュで、すごく複雑な味がします。それでふと思い出したのですが、アメリカにいたときはもっとケーキを食べる機会がたくさんあったように思いました。なにかにつけてアメリカで同僚に誘われて、職場のカフェテリアでケーキを食べることが多かった、、、それは字面だけみると素敵なように思えますが、やっぱり日本の方が良いなぁと思うような微妙な体験でした(笑)

アメリカでのケーキ体験、ケーキ自体の違いや食べ方の違いなど感じたことがあったのでまとめてみようと思います。

 

アメリカのケーキは甘い

アメリカのケーキは日本人からみると色が派手というのは良く言われてネタにされています。さすがにこんなの(アメリカ ケーキ - Google 検索)は食べられないですよね、、、ここまでカラフルなものは僕は食べなかったのですが、色よりも気になったのは味です。とにかく甘い!口に入れるとなんか頭痛がするようなそんな甘さです。甘いだけならよいのですが、味がものすごく単純なんです。どこを食べても、同じ甘さ。なんど食べても、同じ甘さ。日本の美味しいケーキ、コンビニですら買える素晴らしいケーキのような複雑で、クリームやスポンジの甘みがそれぞれ楽しめるような、そんな素敵なケーキではありません。正直美味しくなかったな、まったくもう一度食べたいという代物ではありませんでした。

やっぱり日本のものがなんでも美味しすぎるんですね。むこうで一度、すごくオーガニックな指向のつよいトルコ人の女性が、「私が自分でケーキを焼いてくるわ」と言ってくれてすごく期待したことがありました。「いままでひどいケーキばっかりだったけど、やっと美味しいケーキにありつける!」と思ったのですが、出てきたのがケーキ全体にM&M'sが埋め込まれているあまーいケーキでショックを受けました(笑)。それからは日本のケーキが美味しすぎるだけなんだと思うようにしています。

 

ケーキの食べ方

なにかイベントがあると「ケーキ」でした。同僚の誕生日、送別、そういうときにだれかがホールケーキを買ってきます。「Let's go cake」といわれて、ついていくと「ケーキ」です。カフェテリア(といっても食堂のようなものです)に集まって、ケーキを開けて、食べる。それだけです。この時に「happy birthday」を歌ったり、事前にみんなの予定を聞いて集まれる時間を打ち合わせたりはしません。これはアメリカのパーティー全体に言えることですが、「だらっとしていて気軽」なのです。さすがに夜のパーティーだとみんなの予定を合わせますが、それでもスタートがはっきりしておらず、盛り上がりも明確なものがないのです。乾杯も挨拶もなく時間もアバウトなので、「なんとなく」始まって「おしゃべり」して、「なんとなく」解散です。「ケーキ」も誕生日などあると必ず開かれるので、彼らにとって大切なイベント・習慣なのだと思うのですが、スピーチや歌などのイベントもなく始まって終了します。日本の時間厳守で乾杯から始まって一本締めで終わる歓送迎会に慣れていると拍子抜けしました。

 

良いケーキを買ってこない

これが一番不満でした。同僚だったのはみんな30代以上の良い大人です。なのに、買ってくるのは「whole foods」や「shaw's」といった大手スーパーのホールケーキなんです。僕の感覚だと、30歳くらいになると一応プレゼントになるケーキ等は、家の近くの小洒落た店とか、有名店とかのケーキを選び、「どこどこで見かけて美味しそうだった」だの「こういう特別なケーキで」とかそういうストーリーがあるものであるべきだと思っていました。でも、アメリカでは30代の大人が大手スーパーでケーキを買ってきて、「shaw's」のは意外にうまい、などと品評するのです(whole foodsがヘルシーで高価格路線で、shaw'sは低価格路線のスーパーです)。このイケてなさにはなじめませんでした。これは僕のいたボストンでだけなのかもしれませんが、アメリカでは個人経営の美味しいストーリーのあるケーキ屋が見つけにくいのかもしれません。実際ボストンではそのようなお店はまったく見ませんでした。

 

ケーキは祝われる人がとり分ける

これが一番興味深いことでした。日本の誕生日だと、祝われる人は基本なにもせず、一番に取り分けてもらって、happy birthdayを歌ってもらって、ありがとうと言って、食べる。だとおもうのですが、アメリカでは逆なのです。誰かが買ってきたケーキがボンと置かれると、「さて!」という感じでその日に誕生日で祝われる人が立って、切り分けて、みんなに取り分けてあげて、みんなに行き渡ったら食べる。というふうなのです。同僚にどうしてなのか聞いてみたのですが、「さあ?物心ついた頃からこうだよ?」という返事だったので、アメリカの慣習なのだと思います。

 

アメリカでの「ケーキ」体験はすごく素敵なものではありませんでしたが、こういう体験からも文化の違いが実感できて楽しかったです。

仕事をちょっと1時間くらい抜けて気軽に「ケーキ」とか良いですよね!日本でもそういう習慣をつくりたいなぁ