cyciatrist 自転車と精神科医療とあとなんか

ボストン留学帰りの精神科医。自転車好き。

ミニマリストは「わかって」ないと無理

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時折ミニマリストと呼ばれる人たちの動向を耳にします。

がらんどうの部屋に質のいいシンプルな服が数着のみ。実は憧れたりもします。でも、ミニマリスト的な生き方はなかなか容易ではありません。ミニマリストな生き方は、「これは要らない」と捨てていく生活であるとともに、「これは残すべき、良い物である」と物を選び取っていく生活でもあります。

 

僕はとても物が好きです。一時は服も大量に買いましたし、GoProのようなガジェットも大好きです。自転車は8台所有していたことがあります。CDは全部リッピングして中古屋に売りましたが、2000枚くらいになってました。本も自炊して捨てましたが、1000冊くらいになりました。アンティークの家具集めにはまった時期も長く、家は倉庫のような感じでものにあふれていました。

本やCDのように情報として残しつつ整理出来るものは整理しましたし、服には徐々に興味が薄れて必要で質の良いもののみを買うようになり、どういう服がどういうTPOで必要とされるのか理解し、年齢も重ねて少ない数で済むようになりました。自転車はどういう自転車が出番が多くて、どういう自転車が自分が好きかが理解できたので、8台は必要ではなくなりました。アンティーク家具はまた買い始めてしまいそうですが、、、

こうして、昔に比べると物が減って少しミニマリスト的になってきたような気もします。これ以上さらにミニマリスト的にはさすがになれないとは思いますが。

 

ミニマリストは良いものを「わかって」いる

僕が所有する物が以前に比べて減ったのは、「なにが必要か」を理解出来たからです。一旦ものに溢れ、欲しいものをたくさん買って無駄にしたからこそ、必要な物が理解でき、現在物が以前より多くない生活が送れているのです。決してミニマリストを目指して物を減らそうとしたわけではありません。

様になったミニマリストになるには一旦は物にあふれた生活を送らないと無理なのではないでしょうか。だって、どの物が自分に合っているのか、どの物が上質なのか、どの物が必要なのかを知らないといけないのですから。そして必要でない物を捨て、上質で良い物、自分にあった物を選びとっていってミニマリストになるのだと思います。

そういった経験をせずにミニマリストを目指すと、ただの貧乏くさく豊かさのない不便な生活なだけになってしまうのではないでしょうか。

そう考えるとミニマリストさんたちは本当はものすごくモノが好きでモノについて徹底的に考え抜いた、どのモノがいいものか「わかって」いる人たちなのかもしれませんね。

*1:Nika Gedevanishvili

ボストン周辺のマウンテンバイクトレイル

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ボストン周辺のマウンテンバイクトレイル

留学中に経験したアメリカでのマウンテンバイクトレイル事情です。リアルなアメリカのマウンテンバイクの状況を体験された方は多くないのではないでしょうか。本当に貴重な体験でした。

ボストン周辺には無数のマウンテンバイクトレイルがあり、MTB生活は非常に充実していました。アメリカの他の地域でマウンテンバイクを乗ったことはないので他の地域の事情は分からないのですが、僕にとってはボストン周辺のマウンテンバイクトレイルは十分な質と量と多様性があり、本当に楽しめました。理想的だったと言ってもいいかもしれません。(冬以外はですが)

 

トレイルの基本的な情報

ボストン周辺には湖が多くあるのですが、多くの州立公園や森林保護区はそれぞれの湖の周辺を囲むように設定されており、中は林になっています。基本的にマウンテンバイクトレイルはそのそれぞれの州立公園や森林保護区に作られています。そして、その入口周辺に開けた場所があり駐車場になっていてトレイルヘッドと呼ばれています。そこには自由に車を停めてかまいません。Fire roadと呼ばれるダブルトラック程度の砂利道が公園の中には整備されていて、そこを散歩したりすることが出来るのですが、多くの場合マウンテンバイクトレイルは、そのFire roadから林の中に入っていってまたFire roadに出てくるような感じで延々と作られています。トレイルのほとんどはいわゆるテクニカルトレイルでマウンテンバイクを楽しむためのみに切り開かれたものです。そのため、わざと岩の上を通らされたり、コーナーが連続していたり、ドロップオフがあったりとチャレンジングに作られています。一部ランやウォークと共有されているトレイルもありますが、ほとんどのトレイルで目一杯MTBを楽しむことができます。時折迷う場合もありますが、それほど分岐はなく、Fire roadに時々出るので迷って帰れなくなることはそれ程(全くではない)ありません。日本のような急峻な山はないので、延々と登ったり一気に下ったりということはありません。ちょっと登っては下ってを繰り返すので、バランスよく楽しめます。トレイルは本当に良くできています。ドロップオフ等は殆どは見通しの良い所に作られていて、突然落ちて怪我をするということはまずありません。また、エスケープも適当に作られているので、自分が無理しなければ大きな怪我をする恐怖はありませんでした。

 

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私はCharge bikesの26インチハードテールduster とSanta cruzの26インチフルサスNomad を持っていましたが、dusterでほとんどのトレイルで丁度良いと感じました。出会う人たちも29インチや27.5インチのハードテールトレイルバイクが多く、フルサスバイクは少数派でした。フルサストレイルバイクも良いと思いますがAll mountain系はボストン周辺ではちょっと過剰かなと思います。VIETNUMHighland Mountain Bike Park | Northfield, NHに行くのであればフルサスAll mountain車以上が必要になるでしょうが。

New England地方は西海岸と比べると雨が多いのですが、それでも日本と比べて乾燥しており土質も水はけがよく雨が降ってもすぐにトレイルに乗り出せます。午前雨が降っても、やんで2時間待って午後になればなんの問題もなく、トレイルにも轍はできませんでした。日本では一部トレイル管理をしている人たちでトレイルの保護にこうるさい人たちが居ますが、ボストンではブレーキや雨天後のライドでどうこうと言う人はいませんでした。

(おそらく)すべてのトレイルは3月中は自転車での進入は禁止となっているようです。これは冬季に土が凍り、それが溶け出すのが3月であるため、3月は多くのトレイルがぬかるんでいるという理由だと思います。

 

NEMBA

NEMBA | New England Mountain Bike Association

Massachusetts州を含めたNew England地方はNEMBA(new england mountain bike association)というマウンテンバイク協会がMTB活動やトレイルを管理しています。

管理活動は非常に活発で、ボランティアベースで毎週活動しています。トレイルに倒木があっても翌週にはたいてい片付けられていました。また、公園内に作られている歩行者用の小さな橋の殆どにはNEMBAマークが掘られており、マウンテンバイクトレイル以外の管理保全にも積極的に関わっていることがうかがわれました。

10ドルか20ドルくらいで入会でき、入会するとsingle track magazineという機関紙が送られてきます。内容は支部の活動報告程度ですが、、、会社が近くにあるので、mootsがメインでサポートしてくれているようでした。

後に述べるVietnumというトレイルでは、公園等へのトレイル作成にとどまらず土地を募金を集めてNEMBAで購入し、そこにジャンプやドロップオフだらけのチャレンジングなトレイルを作るという活動まで行っています。
このNEMBA内のページをみるとRideできる場所のリストがあります。

Trails | NEMBA

massachusetts | NEMBA

サイトをのぞいてみるととわかりますが、たくさんありすぎてどこに行けば良いかわかりません、、、はじめは土地勘も無くどのトレイルにどのように行けばよいか迷うばかりでした。

調べてみるとblue hills、Lynn woods、Middle sex Fells reservationあたりが評判が良いようです。
私ははじめはFellsとCutler parkに行ってみました。これらは評判がよいだけでなく、ボストンの公共交通機関であるMBTAのメトロの終点駅から自走できる範囲にあるので車を所有していなくても楽しむことができるという理由でした。
Fellsはred lineのDavisから20分程度、Cutlerはorange line のForest hillから30分程度の自走でした。
Blue hillsもred lineのBrain treeから、Lynn woodsはorange lineのoak groveから自走できそうではありましたが結局行きませんでした。

その後は車を購入したので、いろいろと行ってみて楽しみました。また、研究室のBossの息子さんがmountain bikerで、彼がいろいろと連れて行ってくれたのがとても大きかったです。彼は自転車屋に勤めており、最新のトレイル事情をよく知っていました。

以下が行ってみたトレイル達です。☆で評価してみました。今後それぞれレビューできればと思っています。

 

Cutler park ☆

Vietnum ☆☆☆

Wompatuck State Park ☆☆

Russell Mill ☆☆☆

Landlocked Forest ☆☆

Lowell-Dracut-Tyngsboro State Forest ☆☆☆

Middlesex Fells Reservation ☆☆

Harold Parker State Forest ☆☆

Beaver Brook North ☆☆

 

いつかはmountain bike のメッカと言われるユタ州にも行ってみたいですが、いつになることでしょうか、、、

いつかどなたかがこの情報をもとにMAのトレイルに挑戦していってくれると本当に嬉しいです。

 

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できるからこそ。できないからこそ。

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できるからこそ複雑になって運営が非効率的になる

久々に渋谷に出て、Boston時代にお世話になったBossにクリスマスプレゼントをヒカリエで購入しました。

渋谷駅は今工事中。少しずつ工事を進めて、JRの駅も東横線の駅も東京メトロの駅も近くなって機能的になるらしい。今もすごくわけのわからない形で工事が進んでいます。どう歩けばいいのかわからない。でも、今でも渋谷駅は機能している。

代官山渋谷間の工事も本当に驚きました。1日も運行を止めないとかクレイジーすぎます。

matome.naver.jp

こんなの絶対アメリカじゃ無理だと思いました。土地が広いとか別の理由もあるとは思いますが、アメリカなら絶対に一時のめちゃくちゃな不便さには目をつぶってテキトーなところに仮設駅を作って運営すると思います。なんなら間にバス運送とか挟んで運営したりすると思います。そして豪快にドラスティックに一気に新しい駅を作り上げると思います。

アメリカ的やり方であれば、例えば、渋谷と代官山の間に仮設駅を作って、そこで東横線は運営する。山手線渋谷駅から仮設駅まではバスで運送する。その間に一番効率的な場所に簡単に駅を作ってしまい、出来てから複合的な渋谷駅を運営する。というような形にすると思います。「普段の便利さ」を数週程度なら目をつぶって、こういう運営をすると思います。

 

日本人の優秀さと街の難解さ

日本人は明らかに優秀です。留学中はそう思うことが多かったです。丁寧で器用で複数の仕事を並行して出来、たいていのことはやってのけます。末端の規律の高さは信じられない。

個々のアメリカ人はやはり不器用だし思考も大雑把でした。いい加減でやり遂げるのに時間がかかり、多くのことをこなすことができません。末端のいい加減さは信じられない。

しかし、全体の組織としてはアメリカは見事に機能しています。日本が機能していないとは思わないけど、少なくともアメリカは個々の人物から受けるイマイチな印象からかなりかけ離れて全体の組織がうまく回っています。

これは街から受ける印象も同じです。日本は暮らしやすい。特に東京はいたるところに地下鉄が張り巡らされ、コンビニに溢れ、安全で清潔で明るいです。アメリカではどこに行くにも車で自分で動くなら良いが、そうでなければ不便であり、暗く薄汚れています。じゃあ、街としてアメリカの都市と日本の都市の全体の経済活動などに差があるかというと特に差はありません。街全体の活動としては個々の不便さなどからかけ離れてアメリカの街は機能しています。

日本の街は複雑な構造や運営を個々の日本人がこなせてしまうからこそ、街の構造がどんどん複雑になってマクロで見るとごちゃごちゃになってしまい、非効率になっていってしまうのだと思います。上記の渋谷駅の現状はまさにその好例だと思います。工事中でない駅でも新宿駅や梅田駅の複雑さはよく話題にのぼりますが、複雑な街・駅を運営はできていますが、全体としてうまくいっているかというと、乗り換えが複雑になって迷ったりと一概にそうとも言えないところもあるかもしれません。さらに、JR渋谷駅が乗車人数ランキングで5位に転落! 渋谷駅の収入は大丈夫なのか | All About News Dig(オールアバウト ニュースディグ)のようの記事もあります。個々の利便性を高めるため複雑な運用をして、結果としてアウトカムが悪くなっている可能性もあるのです。

 

できるからやるを離れて

アメリカの街は日本の街より不便です。公共交通機関は日本と比べて単純なものとなっており、移動の選択肢は少ないです。でも、マクロで見ると単純だからこそ効率的になっています。迷うこともありません。個々のアメリカ人が大雑把で複雑な構造や運営をこなせないからこそ、街が単純で扱いやすい構造になっています。だから大きな動線の変更などがしやすく機動的に運営することができます。

街や駅の構造で話をしてきましたが、これは組織の運営でも言えることだと思います。日本人は時々立ち止まって、個々の最適化が全体の最適化につながっているか考えるようにする必要があると思います。

 

ちなみに今回のブログトップの画像は僕が留学中に話題になった画像です。ニューヨークとボストンの道を比べると、ニューヨークの方が碁盤の目になっていてわかりやすい。なぜボストンはこんなめちゃくちゃな道になっているんだ。やってられない。という笑い話です。日本の道に比べるとボストンなんて可愛いものですよね(笑)

 

みなさんはどうお考えでしょうか

精神障害者が犯罪を起こしても無罪?

Young Murderer

 

www.sankei.com

こんな事件が話題になってました。

これまでも精神障害者が事件を起こし無罪減刑された時には「キ○ガイ無罪」などとインターネット上では揶揄されており、司法の判断と一般の感覚に大きなズレがあるようでいち精神科医として心を痛めていました。私はこの事件においては統合失調症という診断及び暴行に及んだ理由がニュースの通りであるならば議論の余地なく無罪と考えます。

これまでも有名な事件としては古くはピアノ騒音殺人事件 - Wikipediaから精神疾患責任能力については議論になっており、なかなか一般の理解が得られていないようです。

最近ではこういったものもありました。

6人殺害のペルー人意識不明!統合失調症で錯乱状態の犯行か? | てげろぐ

この辺りは様々な階層、質での議論がありなかなか統一した議論が難しいのですが幾つかの論点をまとめてみたいと思います。

 

1.すべての精神障害者が事件において無責任となるわけではない

精神科もさまざまな流派やさまざまな考えを持った医師の集合体なので、すべての精神科医師が同意するという議論はありません。かつては不可知論・可知論(不可知論と可知論|はちみつ)などを前提として様々な議論が行われてきました。

その際の論点は概ね以下にわけられます(薬物・アルコールは複雑になるので省いています)

1「統合失調症の症状に左右されて犯罪を犯した場合に責任能力があるか」

2「統合失調症ではあるが症状とは関係なく犯罪を犯した場合に責任能力があるか」

3「躁うつ病の症状に左右されて犯罪を犯した場合に責任能力があるか」

4「躁うつ病ではあるが症状とは関係なく犯罪を犯した場合に責任能力があるか」

5「統合失調症躁うつ病以外の疾患だが犯罪を犯した場合に責任能力があるか」

これまで偉い人たちが交わしてきた議論はぶっ飛ばしますが、、、

現在の精神科医一般の意見は総じて「1は間違いなく責任能力無し、2は概ね責任能力無し、その他は責任能力あり」とまとまっていると思います。(もちろん今でも極端な論に立つ医師はいますが)

ですので、今回の裁判でも

「当時は幻覚や妄想の影響で善悪の判断ができない心神喪失の状態だったとの疑いが残る」

と判決では統合失調症の症状で犯行を行ったことが否定出来ないことを指摘しているのです。

つまり、すべての精神障害者が犯罪において無責任となるわけではないのです。無責任になるのはおおむね統合失調症の人が統合失調症の症状に左右されて犯罪を起こした時だけです。病気の調子がいい時に統合失調症の患者さんが悪意にかられて起こした犯罪では責任能力あるとされ罰せられます! 安心できましたか?、、、、、、それでも納得出来ないという人がいるのはわかっています。全部じゃなかろうがとにかく精神障害者が無責任になるのが納得いかん!という人もいると思います。その辺を議論が複雑にならないように統合失調症の方が犯罪を起こした場合に限って考えてみます。

 

2.むしろ統合失調症の人が幻覚妄想状態で起こしたことを責任能力あると思うほうがおかしい

と僕は思います。精神科医として幻覚妄想状態になった統合失調症の方をみる機会がありますが、そのときには「ああ、これは判断能力が保たれている人と同じに扱うのは無理だな」と素直に思います。そう感じるのが自然な人の心だと思います。

その証拠に、日本で初めて文章化された法律である大宝律令(養老律令)にも癲狂(精神疾患)の罪を減じるという項目が記載されていたといいます。責任能力 - Wikipedia

こんな昔のもので、難しい法理論とかが発達しておらず精神医学なんてものもない時代でもそういった項目があるということは、みんな「うーん、あれは罰せられんよな」とひしひしと感じていたのだと思います。

では、なぜ昔の人たちがそうひしひし感じていたのを今の一般の方たちが感じていないのでしょうか?

それは、「今の一般の人達が統合失調症が悪化した状態の人を見ていない」からだと思います。昔は統合失調症の治療などなく、患者は放置されるだけでした。もしかすると河原などに集められていて近くに行くと遠目で見ることができたかもしれません。また、良いことではないですが、そういった幻覚妄想状態の方とケンカ等になった人が身近にいたことでしょう。そうすると幻覚妄想状態の統合失調症患者がどのように一般の健常人と異なるのかということを実感することができていたのだと思います。しかし、現在は統合失調症については不完全ですが治療が行われるようになり、また悪化したら入院できる体制にあるなど管理も進歩しています。その中で現代においては精神医療に関わる人間以外、幻覚妄想状態にある統合失調症患者を身近にみることがなくなっていると思われます。そのため、統合失調症の幻覚妄想状態がどのように一般の健常人と異なるかを実感できず、罰せられないのを疑問に感じてしまうのだと思います。

 

3.統合失調症の症状で犯罪を犯した人を罰することに意味があるのか

刑法にて刑罰があるのは犯人の再犯の防止および他者の同様の犯罪の防止です。刑罰 - Wikipedia

統合失調症の人が症状に左右されて犯罪を犯しそれを罰したとしても再犯の防止にはなりません。統合失調症の症状の一つは「妄想」と呼ばれ統合失調症の方からするとそれは完全な事実として認識されます。今回の事件でも

一貫して「スマホから飛んでくる電磁波が体に刺さり激痛が走った。優先席近くでは電源を切るのがマナーだし、痛みに耐えられず注意したが、無視されたと感じ怒りが爆発した」

と述べているとのことです。この人を罰してもこの人は「事実なのに周りは全然わかってくれず罰までくらった。周りはおかしい」と考えるだけです。再犯防止になりません。

また、他者の同様の犯罪の防止にもなりません。他の人が今回の事件をみて、「同じことしたら自分に得になる。真似しよう」とは思わないからです。電車で人を殴って利益になることはありません。

 

4.統合失調症の人が症状に左右されて起こした犯罪は統合失調症の人が起こした犯罪ではない

幻覚妄想状態で何かを起こした場合、その行為主体は人ではないのです。統合失調症の人が症状に左右されて起こしたことは、例えば糖尿病の人が低血糖で倒れて人を押し倒して怪我をさせてしまったり、運転中に脳出血になって意識がなくなって人を轢いてしまったり、ということと同じことです。これらは病気やその症状が事件を起こしたのであって病気にかかった人が起こしたわけではありません。統合失調症の幻覚妄想が悪くなるとその人のコントロールは全く効かなくなることがあります。その下で起こした犯罪はその人の罪ではありません。もちろん、個々の事件で被告がどれだけ病気に支配されていたかを裁判で議論するのはとても必要なことです。今回の裁判でも

「当時は幻覚や妄想の影響で善悪の判断ができない心神喪失の状態だったとの疑いが残る」

心神喪失の可能性を認定しています。

 

まだまだ議論はできますが、精神障害者(統合失調症の人)が犯罪を起こした場合に無責任となる理由は大雑把に上記です。僕は上記の議論が充分説得的だと感じ、幻覚妄想状態の統合失調症の人が起こした犯罪は無責任とされるべきと考えています。また多くの精神科医がそれと近い意見であると感じています。

ただ、異なる意見の方もいるのも理解はしています。 

 

僕が思いつく精神障害者有責論の論点は以下ですが、それぞれ僕の反論を書いてみます。

1.  悪いことをした人は精神障害者であろうとも同じように裁かれるべきだ。因果応報はどうなるんだ→健常犯罪者の情状酌量の必要性から議論してその必要性が否定されたら言ってください

2. 被害者の救済や心情はどうなるんだ→刑罰は被害者の救済等のためにあるのではありません。ただ、これは確かに重要な問題なので刑罰と切り離して議論してください。

3. 社会の安定のために危険な人は病気だろうが社会に出すな→究極的には優性学や行き過ぎた管理社会につながるような危険な考えだと思います。疾患に罹患した人を早期に管理し治療をするのはとても重要な事です。ただ、それが社会の安全のためと強調されすぎると行き過ぎた隔離政策に繋がると思います。また、医療観察法という法律が制定され制度面も少しずつ改善されてきています。

 

みなさんはどうお考えでしょうか

 

2016年6月30日追記

先日釧路でいたましい事件がありました。

www.j-cast.com

男が釧路で4人を無差別に刺傷したという事件です。事件後男が統合失調症で治療を受けていたとの報道がありました。

「僕の人生を終わらせたくて、殺人が一番死刑になると思って、人を刺した」と供述。統合失調症を患って精神科に通い、薬を飲んでいたことも分かっている。

とのことです。

報道の通りであればこれは統合失調症患者が起こした犯罪ではありますが、統合失調症患者が統合失調症の症状に左右されて起こした犯罪ではありません。

後日報を待ちたいと思います。

Fallout 4

www.fallout4.com

Fallout 4が11月10日にリリースされました。日本語版は12月17日のリリースとのことです。

前作Fallout 3は舞台がWashington DCで荒廃した実在の施設が多数出現するのがゲームの特徴でしたが、今回の舞台はボストンなので2年半住んだ街の施設が出てくると思われるのでPlayしてみたい。Wikipediaなどをみると上原や松坂、田沢がプレイした(する)Boston Red Soxの本拠地球場であるFenway Parkに向かうよう指示されたりする、などとなかなかぐっとくることが書かれています。

Fallout 4 is set in a post-apocalyptic Boston in the year 2287, 210 years after a devastating nuclear war, in which the player character emerges from an underground bunker known as a Vault. 

実際にトレーラー動画を見ると有名な州議事堂の金色の円屋根などが出現していてテンションがあがります。

 

でも、実は僕はもうゲームは10年ほどplayしていません。プレステも2までの人間で正直現在のゲーム事情についていけていません。というか以前持っていたブラウン管テレビを捨ててからこの8年ほどテレビすら所有していません。

Mac派なのでWindowsマシンは持っていません。MacBook ProAirを使用しているのでモニタもありません。

一度離れると物事とはとっつきにくくなるもので、ここからFalloutをPlayできる環境を整えるのは苦しいなぁ。プレステ4とテレビを買うか、それだとFallout 3はPlayできないですし。Fallout をPlayするためだけにゲーミングPCを買うのもなんとも、、、

スペックは

Minimum
Windows 7/8/10 (64-bit OS required)
Intel Core i5-2300 2.8 GHz/AMD Phenom II X4 945 3.0 GHz or equivalent
8 GB RAM
30 GB free HDD space
NVIDIA GTX 550 Ti 2GB/AMD Radeon HD 7870 2GB or equivalent

Recommended

Windows 7/8/10 (64-bit OS required)
Intel Core i7 4790 3.6 GHz/AMD FX-9590 4.7 GHz or equivalent
8 GB RAM
30 GB free HDD space
NVIDIA GTX 780 3GB/AMD Radeon R9 290X 4GB or equivalent

 bethesda.net

とのこと。

ゲーミングPCを買うなら↓とかなのかもだが

www.dospara.co.jp

14万円、、、にモニタも購入となると非現実的、、、ですね。

 

一度物事から離れるともう一度それに取り組むのは難しいですね。昔はゲームも結構やったのですが。

 

 

BostonでのEnglish Learning

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ボストンでの英会話学校の話

2年半アメリカに研究留学していたが、やっぱり英語は難しかった、、、。フルタイムで研究や仕事に従事していると、いくらアメリカにいるからといって英語力が自然に上がっていくということはない。やはり学ばねば進歩しない。

率直に言ってボストンは英会話を学ぶ学校は豊富ではなかった。英語留学であれば学校はあるのであろうが、フルタイム就業者のための英語学校はあまりない。ボストンは英語を学びに来る場ではなく、英語がある程度できる人が医学や経営などを学びに来る場所なのである。

ということでボストンでいくつか英語学校に通ってみたので感想を書きたい。

 

 

www.extension.harvard.edu

天下のハーバードのエクステンションスクール。正式な学生以外の人たちのための学校である。様々な学科があり学びの機会を提供している。

僕が勤めているのがHarvard associateの施設だからといって割引にはならなかった。
English larning classを受講するためには、先立って英語のテストを受ける必要があり、その結果によりクラス分けされる。
Advancedにクラス分けされたということもあり、かなりレベルが高くついて行くのがやっとというよりついて行けなかった。
クラスメイトはグリーンカードをすでに取得しているブラジル人や3年バーテンダーとしてアメリカで働いているコロンビア人など。
フルタイムワーカーには宿題の量が多すぎてすべてこなすのは全く不可能だった。
英会話というより読解やwritingが中心の英語総合力を磨く授業。
テーマは担任の先生の好みのようで、延々と、一貫して、「差別」についてできつかった。
ただ、先生の授業に対する熱意や、準備にかけていると思われる時間などはこれまで体験したことのない質であり、少し感動した。
授業料は質を考えると安いと思った。挑戦する価値はあると思う。

他に夜間で通える英会話スクールがないこともあって何度か通ったが、2015年からは授業がなくなってしまったようである。

Boston UniversityのEnglish Learning schoolの方が評価も高く、今も運営されているようだ。友人が通っておりHarvardと同様に非常に宿題が多く苦労していたが、その友人の英語力は非常に向上していた。

 

 

ccae.org

さまざまな学びの機会を安価で提供しており、英語のクラスも多い。
TOEFLのコースに参加した。
金額が安いこともあり、自分も他の参加者も来たり来なかったり。
授業もみんなで参考書をやるだけ。
金額を考えると妥当。

図書館での英会話スクールなどで良い成績をとるとタダで受けられたりもするらしい。

 

 

www.cambridgema.gov

図書館での英語のクラス

Cambridge library で何度か受けてみた。ボランティアがやっていて無料。
無料にしては授業もちゃんと考えられていて、満足感はあった。
あまり知られていないのかそれほど混まないし、良いかもしれない。
いろんな人の話が聞けて面白かった。
サウジアラビアの人たちから一夫多妻制について聞いたり。
ただ授業はディスカッションベースで、受けてる人たちはお互いに訛が強いので聞き取りづらく辟易した。

教師も他で教える際にこういったところで教えた経験の有無が問われるようでそれなりに真剣である。

 


Boston Life
たまたま家の近くで発見したのだが、経営者が日本人のようでなんだかんだ在住日本人で話題に上ることが多い。マンツーマン形式の英会話教室。わりに遅くにもやっていて便利。
マンツーマン形式の英会話教室って意外にアメリカ国内では見つからないような印象もあるし、日本で同様の教室に通うより圧倒的に安い。
ただ、教師は主婦や学生ばかりでプロフェッショナリズムのかけらもない。ただ話すだけ。
名前を間違えられて別の部屋に案内されて待ちぼうけ食らわされることが繰り返されたり、時間どおりに部屋の前で待ってるのに教師が別の教師とくっちゃべってて5分くらい待たされたりと不快なことも多かった。最後は「メールでいくつ購入したコマがあるか確認→1つ残っていると返事あり→予約のメール→返事なし→どうなっているのかとメール→返事なし」で終了した。
現地の人としゃべってアメリカの雰囲気を感じるのは良いかもしれないし、レストランでのチップとか、健康保険とかのことをいろいろ聞いて現地の情報が得られたのは良かったかな。
seaとsheの発音の違いについて聞いたら、「seaは海をイメージして発音するの。visual imageは大事よ!」と言われて、ポカンとしてしまったのは良い思い出。
お勧めしない。

 

教会での英語教室

それぞれの教会が無料で英語教室を開いていることが多い。あまり情報は多くないが、ボストンで生活していると時々誘われたりする。妻が行っていて割と楽しんでいたようだ。宗教に勧誘されるということもない。クリスマスには食事が出たり、イベントも含めて楽しめるかもしれない。

 

 

やっぱり日本語と英語は相性が悪いと思う。英語話者が日本語をある程度話せるようになるのに勉強時間が2200時間必要というのが一般的にいわれているが、英語話者→日本語はそうなんだろうけど日本語話者→英語はもっとかかると思う。多分。ほかのヨーロッパ言語話者の英語の進歩率は
英語話者→日本語はライティングは難しいだろうけど、スピーキング、リスニングはそうでもないと思う。
日本語話者→英語はライティングはそれほどでもないけど、スピーキング、リスニングはなかなか厳しい。2年半生活して最後まで同僚が昼飯の時に何言ってるのか半分くらいしかわからない。映画とかニュースはかなりわかるようになったけど。

まあ、1年とか学生時代に語学留学していた人はごまんといて、そのほとんどの人がたいした英語話者ではない(僕の小さな世界での勝手な印象)わけで、普通に働きながらちょこちょこ勉強するだけなのでは英語を流暢に話すようになるのはなかなか厳しいのであろう、、、

How are you!はHow are you?ではない

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「How are you! 」は 「How are you? 」ではない。

 

アメリカで暮らしていた時のこと。毎朝の挨拶はこんな感じだった。

A: Hey! How are you!

B: Good! How are you! (めちゃくちゃ早口で言う)

A: Good!

 

 

これは決して

A: ごきげんどう?

B: とても良いよ!あなたはどう?

A: 僕も調子いいよ!

ではない

 

おそらくアメリカ人たちがこの会話をしている実際のイメージとしては

A: いよう!

B: お!どもども。

A: 今日もよろしく

くらいである。

 

ここで

How are you?と本当に調子や機嫌を聞かれていると思って、考え込んではいけない。正直にその日の調子を聞かれていると考えてはいけないのだ。

 

How are you!は挨拶

この場合、How are you!は一見質問に見えるが、単に挨拶として使用されている。なので、ちょっと考え込んで「今日はちょっと熱っぽい」などと返答するのは空気読めないと受け取られかねない。あるいは本当にやばい状態にあるのではと心配されてしまう。

なので、英語文化圏に溶け込みたいと思ったらHow are you!と言われたら条件反射でGood!と反応できるようにならないといけない。むしろ、How are you!と話しかけられる前にこっちからHow are you!と話しかけていかねばならない。また、How are you!と言われたらこっちからもHow are you!というのがマナーなので、上記のようなGood! How are you!とものすごく早口で返すのが当然ということになる。挨拶なので、ネイティブたちはこのGood! How are you!という応答が完全に自動化され条件反射になっている。これは日本人が「どうも」といわれて「あ、どうも」と返すのとほとんど同じことである。

 

自動化しているから起こる間違い

How are you!に対するGood! How are you!という返答があまりに自動化され条件反射になっているため、ネイティブ間の会話でよく起こる間違いがある。

A: Good Morning!

B: Good! How are you!

A: Good!

 

A: おはよう!

B: 調子良いよ!あなたは?

A: 調子良いよ!

である。

 

Aは一切なにも質問しておらず普通に挨拶しただけなのに、Bは自動化されたHow are you!に対する応答を反射的に行っている。会話としては成立していない。 でも、全く気にせず二人は満足げに自分たちの持ち場に移っていく。こういう場面をよく目撃した。これは明らかにHow are you!から始まる会話が質問とそれに対する返答なのではなく、単なる挨拶であるという証拠である。good以外の返答は用意されておらず、別にこのgoodを別の挨拶をされた後に返してもいいのである。

日本人は(少なくとも僕はそうだった)、初めはHow are you!と言われるとその日の調子を聞かれていると思ってしまって、どぎまぎしてしまってちょっと考えてしまい、返答が遅れる。そうすると、英語ネイティブからすると「挨拶してるのに返事がない」となってしまうリスクがある。英語圏へ行った際にはHow are you!と言われたら反射的になにも考えず「Good!」と返答できると会話も開始しやすいかもしれない。