cyciatrist 自転車と精神科医療とあとなんか

ボストン留学帰りの精神科医。自転車好き。

精神科医が見た投資心理学

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精神科医が見た投資心理学

感想

内容はオカルト的だと感じた。

原題は「tools and techniques for minding the markets」であり、原題では「精神科医」ということは強調されていない。実際、著者がナリワイとしているのは心理治療であり、日本では臨床心理士があたる仕事に近い。医師免許は取得しており、アメリカではそのような仕事が日本よりも精神科医の仕事であるようだが、そのなかでもやや異端のように思われる。

まず著者が行っているのは非常な短期治療で、「病的でない人々」を相手にする治療とのことである。(それって医者なのか?) 短期治療と言うクセして文中には「フロイト主義」との言が出現するし、、、フロイト主義で行くと短期治療は不可能だと思うのだが。
本にあるcaseをみると、僕が知っている療法の中では「説得療法」に近いような気がした。
evidence重視といいつつこういう事もやっているアメリカというのもなんだか疑問に思うが、当然自費診療なのであろう。ただ、著者が治療をしているのはどうもお金持ちだけということもなさそうで、むしろ他でお金をもうけている精神科医が趣味的にこの本にあるような治療をやっているような印象をうけた。
にしても療法の効果があるかどうかはさておき、この精神科医と同じような心理療法をやるには、治療者の知的能力がかなり高くないと出来ないと思った。
著者は頭の回転にかけては相当なもんだと思う。

著者の心理治療についてばかり気になったが、切羽詰まった場面での様々な心理パターンをよく知っていると思われる著者が、それを投資場面に当てはめてアドバイスする本、というくらいの理解で読めば悪くない本だとは思う。
ただ、それは本当に投資場面において実行が可能か、実際効果があるか、については不明である。