cyciatrist 自転車と精神科医療とあとなんか

ボストン留学帰りの精神科医。自転車好き。

ブロガーは文筆業のダンピング

このところ「アフィリエイト」とか「ブログでお金を稼ぐこと」とかの是非というテーマの議論をよくみかけます。

↓ベテラン「はてなー」の意見

delete-all.hatenablog.com

p-shirokuma.hatenadiary.com

 

↓「アフィリエイター」の意見

www.pojihiguma.com

はてな歴の浅い僕からすると興味深い議論で、そもそも「ブログ」でお金を稼ごうと思っている人がいるということ自体が驚きだったのでいろいろ感心したりびっくりしたりしました。ブログでお金を稼ぐためにいろんな努力とか工夫があるのですね。そして得られる報酬はどうやらその努力や工夫の対価としてすごく安いのですね。また、ブログでお金を稼ぐという行為自体に「承認欲求」が絡んでいるようですね。

↓この方が日本でトップのブロガーで一日の報酬がかなり体を張って5万円

togech.jp

 

で、結局僕の結論は「ブログでお金を稼ぐというのは承認欲求を利用した文筆業のダンピングということです。

 

ブログを書いて報酬を得るというのは、結局、直接・間接に何かを宣伝してお金を得ているということですよね。よっぴーさんのPR記事は面白いことをしながら「Yahoo!検索」というサービスを直接的に宣伝しています。多くのアフィリエイト記事は面白いことを書いて、そこに貼られたアフィリエイト広告をクリックしてもらうことで間接的に商品などを宣伝しているわけです。

これって結局雑誌に記事を書いたり新聞に記事を書いたりして広告主からお金をもらうのと変わりません。「ブロガー」さんたちは「新しいことをやっている」などといって出会い居酒屋に行ってその体験を記事にしているようですが、耳目を集めることをやってそれを記事にし、対価を得るというのは昔から行われてきたことです。例えば、今も行われている世界最大の自転車イベント、「ツールドフランス」などは「ロト」という新聞社主催で始まったもので、まさに新聞を読んでもらうため、買ってもらうために始められたものです。日本でも高校野球や駅伝などのイベントは強い新聞社との結びつきがあります。こういった壮大なスポーツイベントと比べると、「ブロガー」さんたちがはしゃいでいる様子はかなり小さな規模で営業しているように感じます。

結局はそういった大きなイベントが飽和しており新規参入が難しいこと、インターネットの普及により小さなイベントや記事の拡散コストが大きく下がったことが「ブロガー」が「ブログでお金を稼ぐ」ということの流行につながったのではないでしょうか。

ブログでお金を稼ごうとスタートするのは非常に簡単なようです。ブログを立ち上げる←簡単。ブログを書く←簡単。そこにアフィリエイト広告を貼る←簡単。です。

しかし、どうもそこから得られる報酬は多くの場合非常に少ないようですね。そしてある程度以上の報酬を得ようとすると、かなりのアイデアと工夫と努力が必要なようです。それでも、多くの「ブロガー」たちがそこに参入しています。それは参入障壁が非常に低いことももちろんあると思うのですが、この記事の頭にリンクを貼ったようにブログでお金を稼ぐという行為自体に承認欲求の追求があるようです。承認欲求を満足させられるからこそブロガーが参入し、いろいろな競争をしながら少ない利益を追求するという構図ができているのでしょう。

 

でも、この構図だと特をするのは広告主です。

自分ではなにもせずとも、ブロガーが勝手に「工夫して」「努力して」「アイデアを出して」「安く」商品やサービスを紹介してくれます。

以前は新聞社などのプロにお金を出して、お願いをしないと商品の宣伝は出来ませんでした。あるいは自社でアイデアを出した広告を高いお金を出して掲載してもらわなければなりませんでした。しかし、今はほっといてもブロガーが紹介してくれる様になっています。

↓なんかはほとんどコーエーの宣伝です。昔であればファミ通にお金を出して書いてもらうような内容でしょう。

dabunmaker.hatenablog.com

現在のインターネットの普及で参入障壁が下がり、PVや報酬で承認欲求の追求ができるようになったことで、多くのブロガーが安い報酬でも一生懸命頑張るという構図が出来てしまっているのではないでしょうか。これが僕が「ブログでお金を稼ぐというのは承認欲求を利用した文筆業のダンピング」と考える理由です。

みなさんはどうお考えでしょうか